呼吸は1日2万回
呼吸の大切さ
呼吸の定義
腹膣内圧
口呼吸?鼻呼吸?
番組中でも話されていますし、本書の冒頭で書かれているとおり、ネスターさんは口呼吸の傾向があったため、リサーチの一環として、いかに口呼吸が良くないのかを調べることにしました。スタンフォード大学鼻科専門医のもとで実験を開始し、鼻を塞ぎ240時間、つまり10日間を口呼吸のみで過ごしました。実験後、たった10日間で睡眠時無呼吸の症状があり、 一晩に数分間だったいびきが4時間になり、血圧や血糖値が上昇し、疲労感とストレスが増加したそうです。アメリカ人の25%から50%が口呼吸らしく、ネスター氏が10年前に呼吸の大切さに気づいた時はNIH(National Institutes of Health)、アメリカの国立衛生研究所で呼吸についての研究は全くありませんでした。
我々の祖先はつい最近まで、適切な鼻呼吸をしてきました。1950年代まで陸上競技の指導ではランナーたちに水を口の中に含ませて走らせていました。ランニング後、最初に口に含んだ同じ量の水を吐き出すことによって鼻呼吸の大切さを指導していたそうです。
タテキが特に興味を持ったのは人類学の視点で人間は哺乳類、霊長類の中で鼻呼吸ができない、唯一の種であると言及しているところです。人類の進化の過程で食事が変わり、噛む力が衰え、顎が細くなり、歯並びも悪くなります。そのような歪みから鼻から空気を通す道が狭くなるため、鼻で息がしにくくなります。すると強制的に「口呼吸」するようになってしまうのです。
1日2万回から2万5千回の代償
自律神経はコントロールできない、ということはホメオスタシスの記事で説明しました。しかし、その自律神経に意識的にアプローチできるのは呼吸だけです。我々は1日に二万回から二万五千回ほど呼吸をします。多くの方が一呼吸、一呼吸を意識してはいないでしょう。本来使うべき呼吸筋を使っていないと、他の筋肉を使って呼吸します。その代償をして呼吸をしている人は慢性的な疲れや痛みに悩まされているはずです。例えば肩で呼吸をしている人は「肩が常に上がっている状態」で、いかり肩になってしまいます。首の筋肉を使っている人は首が前に出てしまい、いわゆるストレートネックの状態になってしまいます。2万回の無意識は我々の姿勢や骨格、筋肉のアンバランスな張りを導き代償を払っているのです。
呼吸のトレーニング
バイオハッカーたちにとって呼吸は最優先事項と言っても過言ではありません。環境をハックする、自らのバイオロジーをハックする時、呼吸が心体に与える影響を理解していないと高価なデバイスやサプリメントを使っても効果は出ません。ヨガを学んだり瞑想を生活習慣に取り入れることは、大きな「はじめの一歩」であると強く思います。これ以上、呼吸について描き続けると記事が長くなってしまうので、今後、呼吸のトピックでは私の呼吸法を詳しく共有したり、科学的な視点から皆さんと共に学んでいきたいです。
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